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お金の教科書

所得20万円までは確定申告や開業届が不要って本当!?誤解しがちなポイントを解説
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2021.05.31

所得20万円までは確定申告や開業届が不要って本当!?誤解しがちなポイントを解説

小さな副業をはじめる場合「税金」についてどのような対処をすべきか気になったことはありませんか?

1年間すべての所得をきちんと計算して国に申告する「確定申告」と、事業所得として申告するための「開業届」が必要なケース&不要なケースについて知りたい方、「おけいこ先生デビュー」を計画中の方が、誤解しがちなポイントをわかりやすく解説していきます。

20万円までなら確定申告は不要?

1年間で20万円を超えると確定申告をしないといけないから大変」と聞いたことはありませんか?この「20万円」という数字の根拠は、国税庁のサイト「確定申告が必要な方」の一文にあります。

 

引用:給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える

 

出典:国税庁「確定申告が必要な方」

 

これは、「会社などに勤めて給与をもらい、毎月税金や社会保険料が天引きされている人」が「給与以外」つまり、副業などで収入を得た場合には、原則として、給与以外の合計所得金額が20万円を越えなければ「確定申告が不要である」という意味です。

 

そのため、例えば専業主婦でパートなどもしておらず、ほかに全く収入がない人が自宅で「英会話レッスン」を始めたとしたら、所得税の確定申告をしなくていい金額は20万円ではありません。

ただし、所得税の申告義務がない場合でも住民税の申告義務はあるため、注意が必要です。

 

何による収入か、どのような働き方かに関係なく、合計所得金額が2,400万円以下(2,400万円超から2,500万円以下の場合は下記の金額と異なります)の人であれば

・所得税……48万円

・住民税……43万円

が「基礎控除」として所得控除されるため、所得が43万円までであれば所得税だけでなく住民税の申告も不要です(※所得税は国税、住民税は地方税のため、仕組みが異なります。所得税の確定申告をすれば、住民税も同時に処理されます)。

 

20万円」という数字は、あくまで「年末調整を会社で受けている人の副業」の話なのです。

 

「雑所得」と「給与所得」と「事業所得」の違い

ここで気になるのが、先ほどから出てくる「所得」という言葉の意味です。

「所得」とは収入から経費を除いた、いわば「利益」のことです。この「所得」は10種類に分類され、税のルールが異なる場合があります。

 

個人事業主にとって、特に関わりのある3つの所得について意味を押さえておきましょう。

 

給与所得……正社員、派遣社員、パートアルバイトなど働き方を問わず「お勤めをして得る給料」のこと

事業所得……自分で事業を営むほか、医師などの専門職、農業漁業などの「業」として認められる「報酬」や「利益」のこと

雑所得……上記2つのほか、利子所得・配当所得・不動産所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得(懸賞や賞金など)、どれにも該当しない収入

 

この3つの所得について、事例で紹介すると以下のようになります。

 

フィットネスジムに正社員として勤務しながらヨガの先生をしている

→給与所得

 

開業届を出し、個人事業主として直接生徒募集をしてヨガの先生をしている

→事業所得

 

趣味でヨガをしているが、知人に頼まれて数回ヨガを教えたら報酬をもらった

→雑所得

 

もちろん、この所得は「どれか一つ」しか得られないわけでなく、給与所得も事業所得も雑所得も得ている、というケースもあります。

 

ただし、3つの所得のうち「事業所得」については、前もって「事業を始めます」という届け出を管轄の税務署に提出しないと認められません。それがいわゆる「開業届」です。

 

この開業届を提出し、事業所得として申告するか、雑所得として申告するかの判断が必要です。

 

 

20万円」を超えなければ開業届は不要?

 

では、開業届を出すかどうか、どのように判断すればいいのでしょうか。

 

「開業届を出して個人事業主となるのは利益が出て納税が必要になってからでいいのではないか?」

 

ありがちなお悩みですが、「確定申告をすること」と「個人事業主になること」は全く別の問題です。

 

一つ目の「副業は、合計所得金額が20万円以内なら確定申告をしなくてもいい」のは、先ほどご紹介した通り所得税に関してのルールです。

 

一方、個人事業主の開業届を提出するかどうかは「売上があるか、利益が出ているか否か」によりません。

例えば、「出張ヨガの先生としてホームページを開設し、名刺やパンフレットを印刷して地域にポスティングした」という状態は「開業」といえます。

 

「個人事業の開業届」は所得税法第229条によって「新たに」「事業所得」を「生ずべき事業を開始」したときに「提出しなければならない」と定められています。

 

つまり、「利益が出たときに開業届を出そう」ではなく、「事業を始めたら」赤字であっても開業届を出すのが義務ということになります。「業」として認められる副業を計画しているのであれば、開業届は開業から1か月以内に最寄りの税務署に提出しましょう。

 

そして、開業届を出すことは個人事業主にとって多くのメリットがあります。特に大きなメリットが「節税」です。詳しくはこちら『税金が高い…!?それって払いすぎてない?適切な個人事業主の税金について「税理士」が徹底解説!』の記事をチェックしてください!

 

「業として認められる」ってどういうこと?

 

「利益は多少残るが、あくまで趣味としての一時的な活動であって、仕事として取り組んでいるわけではない。この場合も、開業届の提出は必要だろうか?」

 

このようなケースではどうでしょうか。

 

「利益を出す」ことが開業届の判断を左右しないのであれば、全ての副業において開業届を出す必要はありません。

 

開業届を出すか出さないかの目安は「社会通念上、業として認められるかどうか」です。これは売上の額や業種などで一律の基準があるものではありません。

 

少し難しいですが、法令用語辞典から「業とする」と認められる基準を抜粋しました。

 

【引用】

あ:基本部分

└ 『業とする』は、反復継続性(い)と事業的規模(う)の両方を満たすものを対象とする

い:反復継続性

└ 行為が反復継続的に遂行されている

う:事業的規模

└ 社会通念上『事業の遂行』とみることができる程度のものである

引用:吉国一郎『法令用語辞典第9次改訂版』学陽書房p165

 

つまり、

・数回程度報酬を得るつもりで、長期間やるつもりはない

・報酬が少額で、仕事といわれるほどのものではない

と判断できる範囲で収めようとする場合、開業届は不要であり、雑所得として計上すれば問題ありません。

 

まとめ

どのような事業を始めるときも、お金にまつわるさまざまなことに自分で取り組まなくてはなりません。

「確定申告」や「開業届」といった聞きなれない言葉と接するとハードルが高く感じてしまいますが、税務署では税にまつわるさまざまな質問を気軽に相談できる窓口も用意しています。

もちろん、私たち“先生になりたい”を応援するメディア「おけいこ先生」も味方です。自分の趣味が誰かの「やりたい」を解決できて、お金につながる喜びを感じられるよう一歩ずつ理解を深めていきましょう。

 

【監修者プロフィール】

税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・MAエキスパート ・並木 一真(なみき かずま)


2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等、幅広く税理士業務に取り組んでいる。

https://namiki-kaikei.tkcnf.com/